1)自然振り子式 自然振り子式は、ころやベアリングガイド、空気ばね等で支えた車体を遠心力で傾斜させるもので、傾斜装置の摩擦抵抗が大きいと傾斜が遅れたりして乗り心地が悪くなるという欠点がある。しかしながら制御上のトラブルがなく、直線部走行時についても車体の慣性を利用して乗り心地が改善されるという利点がある。日本の初期の振り子車両や、スペイン国鉄の「TALGO」列車が代表的である。 2)強制振り子式 強制振り子式は、先頭車両のジャイロで自身の遠心力を感じ取り、油圧シリンダなどで車体を傾斜させるもので、傾斜角度を大きくとれる利点があるが、先頭車両の制御が難しいこと、“S”字状に連続する急曲線に対しては制御が難しいこと、制御機構が故障したときは振り子機能が失われてしまうという欠点がある。ヨーロッパを中心に採用されている。 3)制御付き自然振り子式 制御付き自然振り子式は、日本独特の方式で自然振り子式や強制振り子式の問題点を改良したものである。 制御付き自然振り子式の動作原理は(図4・2−2)に示すように、車上の記憶装置に全路線の曲線の形状と場所を記憶させ、この情報を基にそれぞれの曲線に対し、適正な傾斜タイミングと傾斜角度を与えるものである。 しかしながら、長距離を走るに従って、記憶された曲線の位置と実際とでは誤差が生じるため、5〜7km毎に駅構内に地上子を設け、通過する車両に位置情報を与えて補正する。 この方式は、制御機構が故障しても自然振り子式に戻るために、急激な乗り心地の低下が避けられる利点もある。
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